
こんばんは。スポーツメンタルコーチの江口康博です。
先日、ある競技の元日本代表選手の方のお話を聞く機会がありました。
その方の話はとても論理的でわかりやすく、さまざまな質問に対しても真摯に、そして、自分の気持ちをそのまま言葉に出してお話いただけたことで考え方やメンタルについても沢山聞くことができました。
何より人を惹きつける魅力を持った方で、多くの質問にも真摯にお答えいただくけて、とても素敵な方でした。
本当に興味深いお話がたくさんありましたが、メンタルも持ち方が素晴らしく、
そのなかでも伸び悩んでいるアスリートに読んでもらいたいと思ったことを3つご紹介します。
どうすれば勝てるか考えることが楽しい
お話されるなかでとても印象的だったことが、すべての質問に対して、必ずご自身のなか「答え」を出して話していただけたことでした。
抽象的な質問や、難しい角度からの質問、おそらく初めてされる質問もあったと思いますが、自身と対話するように、その時の気持ちや考えなど言葉を紡ぎ出してお話いただけました。
その内容の非常に整理されていて論理的かつ心情も的確に表現されているのです。
自分がやってみるとわかることですが、思っているより簡単でないことです。
「なぜそんなに伝えることが上手いのか?」と考えながら聞いていましたが、あるお話をされたときに腑に落ちました。
アスリートのなかには「勝てればと楽しい」と言う方が多いと思いますが、
その方は、
「自分で目標を立てて、どうすれば勝てるか、考えることが楽しい」
と言っていたのです。
結果にフォーカスした「楽しさ」ではなく、結果に至るまでの過程を楽しんでいました。
常にどうすればいいかを考えて、自分と向き合い、足りないものを補いながら進んで来られた結果、日本代表に選ばれるまで成長されたのです。
また、メンタルコーチングを受けられていました。
コーチングでは自身の深い内面を聞かれ、じっくり考えて、自分のなかから答えを出し、話していきます。
そういった質問にも、最初は「えっ!?」と言いますが、考えることから決して逃げずに、必ず答えを出されていたそうです。
競技においても、必ず”正解”があるわけではありません。
考えることを放棄せずに、真摯に向き合うことは簡単ではないこともありませんが、自身で考え抜いて、何かひとつの”答え”を出すことは、成長にとても重要だと思いました。
いま自分ができることは全部やってみる
次に印象的な言葉は「できることは全部やってみる」です。
●一度競技を離れて、ブランク後に競技に戻ってきたとき
「やれることは全部やってみよう」と、短い時間のなかで精一杯できる練習をした。
●オリンピックにいけないことが決まったとき
「いまやれることは全部やる」と決めて、フィジカルの準備はもちろん、スポーツメンタルコーチングも受けるなど色々なことに挑戦した。
●骨折をして練習も試合もできないとき
「なんでもトライできるチャンス」と、今までと違うやり方があればと考えて、できることを試してみた。
●日本代表でベンチだったとき
「ベテランの自分が若手の選手とチームをつなぐ役割になる」と、チームのためにできることはないか考え、色々な人に聞きながら行動する。ベンチでも思いっきり声を出して応援した。
どんな状況にあっても、「できない」という選択肢を持つだけではなく、常にできることに目を向けておられます。
これも「過程があればこそ結果が出る。チャレンジすればいい」という考えのもと、このような姿勢を持っていました。
そして、いまの自分ができることを考えて、やり切る姿勢が、挑戦を生み、成長につながり、結果につながったと思います。
「人間力」が最後の一点を取れるかどうかを分ける
上記の「いま自分ができることは全部やる」につながる言葉がありました。
「『今ある状況のなかでどうするか?』を考えられる人間性、人間力が、試合の最後の一点を分ける」
例えば、代表で海外遠征した際の宿泊先がひどかったとき、ただ文句を言ってあきらめるのではなく、その環境のなかで、自身がどう対応して、どう行動していけばいいのかを考えて動いていける人間力が大事ということです。
そんな「人間力」が、試合の苦しい場面、一点を争うような場面での結果を分ける、ということです。
みなさんの尊敬するアスリート、周囲でも活躍されている方を見ると、このような姿勢の方が多いのではないでしょうか。
まとめ
この元日本代表選手の方も、もともと自身のなかで強いこわだりや思い込みがあったそうです。
競技がうまくいかない中、なんとかしたいと、スポーツメンタルコーチングを受けて、そのなかで自身に問いかけて答えを出しながら、逃げずに自分と向き合うことで、メンタルの在り方を変えてこられました。
最も印象的だったことは「自分を好きになった」という言葉です。
自分を好きになれたからこそ、自分に自信を持つことができ、今できることに集中し、行動できたと私は考えています。
このようにメンタルの在り方が、競技のパフォーマンスに及ぼす影響は非常に大きいです。
私たちスポーツメンタルコーチは、こういった悩むアスリートのそばに寄り添い、支え、一緒になって変われるようサポートをさせていただきたいという想いで活動しています。
今回のコラムはいかがでしたでしょうか。
読んでいただいた方にとって、競技に全力で取り組むためのメンタルの参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。