
こんにちは。スポーツメンタルコーチの江口康博です。
どんなアスリートでも失敗やアクシデントが起こってしまうことがあります。
・大事な試合で負けてしまった
・目標としている大会に出場できなかった
・レギュラーから外された
・絶好調の時期に怪我をしてしまった
など、特に準備や努力を重ねてきたとき、あるいは人からの期待に応えられなかったときなど、落ち込んでネガティブな感情になってしまうことが多いのではないかと思います。
もし、あなたにとって挫折することがあり、落ち込んでいるとしたら、
それはあなたが成長するためのプロセスと捉えることができないでしょうか。
むしろ、あなたの進化のためには必要なことなのかもしれません。
今回はコラムは、なにか壁にあたって落ち込んでいる方に是非読んでいただきたいと思います。
うまくいかないことが当たり前
いきなりですが、失敗しないで成功している人はいません。
どんな人も夥しい失敗の末に、成功しているのです。
こう聞くと「ウソだ」と言われそうですが本当です。
ただ、人によってはそれを「挫折」と捉えるか、「成功へのプロセス」と捉えるかでその後の行動が変わってきます。
例えば、子供の頃にはじめて自転車に乗るときは練習して、おそらく何度か転びましたよね?
そのときは転んだことを「挫折」と思いましたか?
多くの方が「練習」や「特訓」といった「乗れるようになるためだ」と思って燃えてのではないでしょうか?
このように「挫折した」と思うことがあれば、目標に向かって成功するためのプロセスと考えられたらいかがでしょうか?
同じことが起こっても、全然違った捉え方ができで、とてもポジティブに考えられますよね。
なによりあなたが真剣に努力して高い目標に向かって挑戦しているからこそ、失敗や問題が出てくるのです。
もし、目指すことの難易度が低くければ、すんなりとうまく進みます。何ら課題となることもありませんし、失敗もありません。
うまくいかないことは当たり前なんです。
偉大なアスリートも挫折を経験して強くなっている
世界で活躍するようなアスリートもみなさん挫折の経験を乗り越えて強くなっています。
数人の選手をご紹介しますが、どんなトップアスリートでも失敗なしで成功できたわけではありません。
一度は大きな壁があり、自分の力、周りのサポートなどをそれを乗り越えてきているのです。
トップアスリートの挫折経験をいくつかご紹介します。
長友佑都選手(サッカー・日本代表)
明治大学に進学、サッカー部に入部早々に椎間板ヘルニアに悩まされ、腰痛で走ることもできず、試合に出れない日々が続く、スタンドで応援するなかで、サポーターへの感謝、全力でプレーすることの大切さに気付く。そこから1年間体幹を鍛えたことで復活、さらなる成長を遂げて、FC東京、日本代表、インテルでプレーするまでに成長。
池江璃花子選手(水泳・五輪代表)
2019年に白血病と診断され治療のため競技から離れたが、約10ヶ月の入院生活を経てレースに復帰。その後、東京オリンピックリレー種目に出場し、パリ大会でも個人種目で準決勝に進出する活躍を見せる。
内村航平選手(体操・五輪代表選手)
リオ五輪後、左足首を負傷し、東京五輪代表入りを逃すが、それを乗り越え、種目を鉄棒に絞って4度目のオリンピックに挑むなど、復活を遂げる。
私も経験ありますが、ビジネスの世界でも失敗や問題があることなんてしょっちゅうです。
「えっ?そんな問題あるの?!」みたいに驚くようなことも多いですね(笑)
「完璧にうまくいくことなんてない」、という前提で、どんなことでも対処する心持ち、そして準備と体制を整えています。
「ヒーローズ・ジャーニー」の法則
「ヒーローズ・ジャーニー」とは、アメリカの神話学者ジョセフ・キャンベルが世界中の神話や物語を研究し、共通する構造として提唱した物語論・神話の法則です
映画『スターウォーズ』を代表に、ヒットした映画や小説、漫画などもこの法則に当てはまっており、私たちが惹きつけられるようなパターンのストーリーになっています。
この法則を使って考えれば、失敗に悩んでいるアスリートも、キャリアや困難を乗り越える過程に当てはめることができ、自己成長や成功へのプロセスをイメージすることができます。
ぜひご自身にも当てはめながら想像して読んでください!!
1.天命
物語のはじまりです。人との出会い、アクシデント、本当の自分を知ることで、これからはじまる旅の使命を見つけます。
(例:Bリーグでバスケットの試合を目の当たりにして大興奮。バスケがしたいです、となる)
2.旅を始める
主人公が旅に出る準備をします。ときには「本当にこれでいいのか」と葛藤もあります、そして旅に出るかどうか選択を迫られます。
(例:中学のバスケ部に入ろうとするが、「練習についていけるのかな」と不安もあるつつ、入部に向けて準備する)
3.境界線を越える
最初の試練があります。本当に新しい世界に出ていく勇気や覚悟があるか試され、それを乗り越えて旅に出ます。
(例:バスケ部に仮入部し、厳しい練習に驚きつつも、覚悟を持って入部する)
4.メンターとの出会い
新しい世界で、新しい体験をするなかで、師となる人物、仲間や友人に出会い、学びながら成長していきます。
(例:ドリブルやシュートを覚え、初めての試合を経験、監督やコーチ、チームメイトと一緒に成長していく)
5.悪魔が現れる
主人公は悪魔(最大の敵、ライバル、試練、自分のなかのマイナス面など)に遭遇します。
(例:大事な大会の前に左膝を負傷し、大会には欠場、リハビリに励むが、プレーできない自分に落ち込む日々)
6.変容する
悪魔を倒す、または自分自身のマイナスの面を克服し、主人公はここで英雄へと変容します。
(例:モチベーションが下がるなか監督と話したことがきっかけで、怪我のときこそできることがあると考えを切り替えて、プロアスリートの動きを研究、リハビリのトレーニングメニューも考えて実行していく)
7.課題完了
一つの困難を乗り越えた主人公は、これまでの旅を振り返ります。
体験した旅のプロセスや葛藤、勇気や挑戦したこと、師や仲間との出会いも含めて学びや体験を整理します。
映画や小説では、そうした学びや体験が、物語を通して、一番伝えたいテーマ、メッセージになります。
(例:リハビリの甲斐もあり、予定より早く完治し、部活にも完全復帰。むしろ怪我の前より良いプレーを見せる。どんな困難なときでも、工夫して努力を重ねることで成長ができること、サポートしてくれた監督やチームメイトの想いにも感謝)
8.帰還
主人公は旅を終えて、元の世界に戻っていきます。旅で得た知識や力を次の世代に伝えることで1つの旅が終わります。
(例:以降は怪我をせずバスケに打ち込む日々だが、後輩が落ち込んでいるときには自分の体験を伝えて頑張れるようサポートしている)
さて、ご自身がいる現状はどこですか?
そして、その後のストーリーもより具体的に想像してしてください。
なんだか楽しんで活躍していくイメージが持てたのではないでしょうか?
じゃあ、今の自分がすべきこともわかってきたのではないかと思います。
まとめ
自分が「挫折」と思っていることについて、いかがでしたでしょうか。
ご自身の経験を振り返ってみてもこう思ったことがあるはずです。
「あのときは本当に大変だったけど、あの経験があったから今の自分がある」
人生の長い目で見れば、必ず自身の成長のプラスになっているはずです。
最後に、名言が多いイチローさんの言葉もいくつか紹介させていただきます。
日米プロ野球で約27年間、第一線で活躍して偉大なな記録をつくってきた選手もこんなことを考えていました。
イチロー選手(野球・元プロ選手)
・「ぼくは日米通算3000本安打を達成したけど、6000回以上の失敗があります。失敗から、たくさんのことを学んでほしい。」
・「バットを振らなければ、ヒットは生まれない。失敗をないがしろにせず、しっかりと向き合い、改善に努め、人生におけるヒットを量産していこう」
・「壁というのは、できる人にしかやってこない。そしてそれを乗り越えられるのも、できる人だけ」
・「不安はあって良い。それが当たり前。全てうまくいく仕事なんてある?」
スポーツメンタルコーチとして悩みを聞くなかでも、本人が挫折と思っていることが、実は他人から見ればそうではなかったり、コンプレックスが本人特有のものであることがよくあります。
ご自身が落ち込んだときも「本当にそうなのかな?」と思いつつ、このヒーローズジャーニーの考え方やトップアスリートの言葉を思い出して、今の自分ができることに集中して、行動していきましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。