他人を気にしないほど、パフォーマンスは伸びる?!“いまの自分”に集中する心構え

こんにちは。スポーツメンタルコーチの江口康博です。

多くのアスリートが、試合や練習で「周りにどう見られているか」「結果を出さなきゃ」と考えすぎて、力を発揮できなくなる瞬間を経験しています。
これは、みなさんも経験があるのではないでしょうか。
けれど不思議なことに、他人や結果を気にしなくなったときほど、自然と良いプレーが生まれます。

それは、意識の焦点が「外」から「内」に戻っていくからです。
他人の評価や結果は、自分ではコントロールできません。
一方で、自分の呼吸のリズム、動きの感覚、次の一手に意識を向けることはできます。
この「いま自分にできること」に集中する状態こそが、ゾーンやフローに近い心のあり方です。

結果を出したいときほど、“出そう”とする気持ちを少し手放す。
相手と比べるのではなく、自分のベストを出すことに焦点を戻す。
そのシンプルな切り替えが、パフォーマンスを最大化します。

今回は他人や結果を気にしないほどパフォーマンスが向上することについてご紹介します。

「自分」に注意を向けると自然な行動ができなくなる?!

人は「他人からどう思われているかな」「結果によって自分にどんなことを言われるかな」など思うと、パフォーマンスが発揮できないことがあります。

心理学者のシェリー・ドゥヴァルとロバート・ウィッカンドが提唱した「客観的自己認識理論」では、人は「自分」に注意を向けたとき、自分の行動を社会的・道徳的な基準と比較してしまい、この比較が強くなると、緊張・不安・自己批判が生まれる述べています。

私たちが、他人から注目される、鏡を見る、自分の声を録音して聞く、といった特定の刺激や状況に置かれると、意識の焦点が自己の内面に向けられます。
この状態を「客観的自己認識の状態」と呼びます。

客観的自己認識の状態になると、私たちは自動的に、「現在の自分(自己の実態)」を、「理想的な自分」や「社会的な基準、個人の価値観」といった内部の基準と比較し始めます。
現在の自分と、内部の基準を比較してズレ(不一致)がない場合は比較的安定した状態になりますが、ズレが生じた場合はネガティブな感情を経験します。

このように、人は「自分」に注意を向けたとき、緊張・不安・自己批判が生まれ、
「自分はどう見られているか」「ちゃんとできているか」を気にするなど自己意識が高まりすぎて、自然な行動ができなくなります。
これを「公的自己意識」と言います。

一方の「私的自己意識」は、自分の感情・考え・身体感覚など、内側に注意を向ける 自己理解を深め、フローにつながることもあるなどパフォーマンスの向上につながります。

つまり、
「あの人にどう思われるか」→公的自己意識(外側)
「自分のリズムに合ってるか」→私的自己意識(内側)

この違いが、メンタルの安定と成果を分けます。

自分の感覚に意識を向けることの大切さ

たとえば、試合中にこんな思考が出るとき。
「ミスしたらどう思われるかな」
「コーチが見てるから完璧にやらなきゃ」

これは公的自己意識が高まっている状態で、
動作がぎこちなくなり、リズムが崩れやすくなります。


逆に、
「ボールの感触に集中しよう」
「呼吸を整えて、動きを感じよう」

このように私的自己意識が高まり“自分の感覚”に戻すと、プレッシャーが下がりパフォーマンスが安定します。

この違いを知っておくだけでも、かなり違うと思います。


私的自己認識、”自分の感覚に意識を向ける”ことは、フロー(ゾーン)に近い状態になります。

みなさんもこんな感覚のときには良いパフォーマンスができた経験があるのではないでしょうか?

・角度、力の入れ具合を意識して、ラケットを振り、ボールを打ち返すことに集中した
・理想のスイングフォームを頭の描きながらバットを振った
・水の流れや自分の呼吸を意識しながら泳いだ
・自分のリズム、心拍など身体の感覚に集中して走った

こういった自分の感覚に集中できる状態が継続できていることが重要です。

ただし、過度な私的自己意識を持ってしまうと、過剰な内省・緊張・動作の乱れにつながることにもなりかねません。
「自分の内側を感じること」は必要ですが、同じぐらい「考えすぎないこと」も大切です。

その上で持ったいただきたい意識が”楽しむこと”です。

楽しむといっても、遊びに走るのではなく「真剣に楽しむ」ということです。

「真剣」=やるべきことに集中し、丁寧に努力している。
「楽しむ」=行為そのものに没頭し、心理的にリラックスしている。

この2つが両立しているとき、人は最も自然で力強いパフォーマンスを発揮します。
”楽しいは最強”と言われるゆえんです。

この楽しむこともゾーンに関するコラムに書いていますので、是非お読みください。

<参考コラム>
「ゾーン」に入る人と入れない人の違い

他人の評価や結果ではなく、自分の「成長」に目を向ける

1985年にアメリカの心理学者であるエドワード・デシとリチャード・ライアンが提唱した「自己決定理論」では、人がパフォーマンスを発揮するのは、報酬や他人の評価による「外的動機づけ」よりも、自分の興味・成長による“内的動機づけ”によるときとされています。

「勝たなきゃ」
「評価されたい」
と思う、外発的動機付けより、

「自分が成長したい」
「楽しみたい」
と思う内発的動機づけの方が集中力と継続力が高いということです。


試合でいい勝ち方をしたとき、本番でうまくいかなかったとき、試合でひどい負け方をしたとき、競技をやっていると様々な場面があると思います。観客からの歓声や声、周りから色々と言われることもあるでしょう。

良いときも悪いときも、どんなときでも、自分がどのような成長ができていますか?

自分が成長できたことは、しっかりと見つけて、認めて、褒めてあげましょう。
それは小さいかもしれません、僅かかもしれませんが、その成長は確実な一歩です。
その積み重ねが自信や大きな成長につながり、必ず結果につながってきます。

そのために大切なことは、いま自分ができることに集中することです。

あなたがいまできることは何でしょうか?

もし、あなたが他人の評価に苦しんで、悩んでいるなら、
評価はコロコロ変わるものであり、なんの信ぴょう性もありません。
そして、他人の評価は自分ではコントロールできません。
放っておきましょう!
他人からの評価や見る目がどうであろうと、あなた自身の本当の価値は何も変わりません。

今できることを考えて、それに集中して行動していくことが成長につながります。

まとめ

他人からの評価やどう見られているか、悩んでいた方にとって、ためになる知識や考え方を変えられる参考になれば幸いです。

私も社会人で仕事の評価が悪いときは納得できなくて、
「この仕事は評価してくれないの?」とか「これだけ成果あったのに?」など思うことがあります。

そんなときは自分に意識を向けたり、成長できたことを確認していますが、もう一つ重要なポイントがあります。

「自分がどんな価値観を大切にしていて、どんな存在でありたいのか」を再確認することです。

人は何かを大切にしていて、達成したい目標や、ありたい姿など目指す方向に歩んでいます。
そのなかで他人の評価が良かろうが悪かろうが影響はありません。

自分が目指した道、評価できるのは自分自身だけです。
そして、いまできることを行動していけば、小さな成長、小さな成功が自分を後押ししてくれます。
自分らしく生きていましょう。


最後までお読みいただきありがとうございました。


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競技で悩んでいる方、メンタルに課題を感じている方は一度体験メンタルコーチングを受けていただくことをお勧めしています。