思い通りにならない身体と心に、うまく向き合う方法

こんにちは。スポーツメンタルコーチの江口康博です。

対戦相手に勝つために取り入れたい動き、新しい技に取り組むとき、イメージしたプレー・・・。
どれだけ練習時間を重ねて頑張っても、なかなか思うようなパフォーマンスが手に入れられない時期ってありますよね。
試合や本番で結果を出せないときもそう感じることがあると思います。

周りの選手ができていくのを横目に、「自分だけ止まっている」と感じる瞬間。
練習はしているのに、なぜか身体が思い通りに動かない、モヤモヤして気持ちも乗らない。
「なんで思い通りにならないの?!」と、そんなときは、どうしても自分を責めてしまうものです。

でも、まず伝えたいのは
「うまくいかないあなたが悪いわけではない」ということです。
人の身体のしくみ、うまくいくための準備段階があるのです。

今回はうまくいかない自分を向き合う方法についてご紹介します。

思い通りにならないのが人体のしくみ

私たちの身体や心は、機械のように一定ではありません。
プログラムした通り1回で正確に、それも同じ動きを何万回も繰り返すなんてことはできません。
体調、睡眠、栄養、天気、他人の言葉など、ほんの小さな刺激でも、自律神経やホルモン、脳や身体の働きは揺らぎます。

ロシアの運動生理学者ニコライ・ベルンシュタインが運動制御と運動学習について下記のように提唱しています。
人間の身体には、関節や筋肉など、独立して動くことができる自由な要素が無数にあります。
脳は、この膨大な数の自由度を、どのようにして効率的に制御しようとするわけですが、すべてを正確に制御することは不可能だということです。

「想い通りにならない」は失敗ではなく、自然な身体の”ゆらぎ”なんです。

そもそも身体の動きや競技でも、つい「思い通りにすべてコントロールしたい」と思いがちですが、実際はコントロールできること、できないことが存在します。
全部思い通りにしようとすると苦しくなってしまいますよね。

「想い通りにならない。揺らぐのが人間」と理解して、その上で目の前のことに集中することが大切です。

思い通りにできないからこそ練習する

人は思った通りに、いきなり身体を動かすことができません。
だからこそ「反復」という練習で、目的の動きに向けて調整していくのです。

関節や筋肉など、自由である要素を一つひとつ試行錯誤しながら、バシッと決まる動きを探していきます。
その動きの組み合わせは無数にありますから、”最適な動き”なんていうものは一つではありません。
むしろ、理想の動きができるようになってからも、正確に同じ動作を繰り返しているわけではなく、身体も常に変化していますので、一つとして同じ動きはありません。

そう、「思い通りに動けない」と悩んでいる段階は、
実は思い通りに動くために脳と身体が少しずつアップデートする過程なんです。

では、思い通りの動きができるにはどんなポイントの代表例はこちらです。

<思い通りに身体を動かすポイント>
・動作を頭で考えず、無意識レベルに落とし込むことができる状態をつくることができる
・身体の感覚に敏感である
・意識を身体の動きではなく、結果に向ける(例:「腕を高く上げる」ではなく、「天井をタッチしよう」とする)
・過度に自分を監視しない。プレッシャーや緊張を与えないようにする。
・反復練習で繰り返し経験させることでも、”感覚を意識すること”で無意識にエラーが修正される。


なかには、周囲の選手と比較して自分だけが技や動きの習得が遅くて、焦る人もいるかもしれません。

読売ジャイアンツやヤンキースで活躍した松井秀樹選手(元プロ野球選手)も、自身のことを「不器用」だと語り、誰よりも練習を積んだことで知られています。
「僕は階段を少しずつ登っていくタイプだと思っている」と語っており、急激な飛躍ではなく、地道な練習の積み重ねを重視していて、練習や時間の”量”ではなく、継続性と意識の高さの”質”をとても徹底していたそうです。

「努力は裏切らない。裏切るのは、努力をやめた人の弱い心だ。」

松井選手の、努力すれば必ず道は開ける、不器用でも努力を続ければ結果はついてくると勇気づけられる言葉ですね。

私もとても不器用で何をするにも習得が遅い人間でした。
ただ、不器用な人ほど、練習して獲得したスキルほど、自分の強みになっていたり、本番でも通用する”本物”になっていると思いません?

練習では身体と心を少しずつアップデートしていく意識を心掛けてはいかがでしょうか。

思い通りにならないときの自分への付き合い方

調子が悪い日ほど、「今日はどんな自分が出るだろう?」と観察してみましょう。
研究者のように、自分を観察する“実験者マインド”です。

動きが硬い日も、感情が落ち着かない日も、「こんな状態でもどこまでやれるか」を探る時間にしてみる。
理想の自分を追うより、「今の自分とどう付き合うか」に集中する。
その繰り返しが、安定したパフォーマンスにつながります。

そして、身体も心も、思い通りにならないのが普通です。
でも、その中で諦めず、自分を知ろうとする人が強くなります。
だからこそ、「今日もうまくいかないな」と感じた日も、それは“成長の入口”に立っている証拠です。


大迫傑選手(マラソン)がこんなおもしろいことを言っています。

「自分はめんどくさい」

なにかを始めるときなど、まずは自分をしっかり「納得」させてから始めるそうです。
納得して取り組んだ結果、全力で取り組めることで効果も上げることができています。

どんなときも、自分の身体の声、心の声に耳を傾けて”対話”していきましょう。
無理に進もうとしても、実態と心、身体がチグハグになって、さらにうまくいきません。
とことん自分と対話して、自分を納得させてから、進めばいいのです。

最後に

思い通りにならない自分を責めるより、
「今日の自分はこうなんだ」と受け止める力を育てていきましょう。
その余白が、次の一歩をつくります。

そして、その一歩一歩が着実に成長につながって、目指す姿や目標に近づくことができます。

焦ることはありません。自分は自分なりの成長を続けていけば良いのです。

もし一人で考え過ぎて迷ったときは、頼れる人に相談してみましょう。
「人に頼ること」は恥ずかしいことではなく、とても大切な”成長”です。


最後までお読みいただきありがとうございました。