疲れていても頑張るのは逆効果?成長を加速させる“整える”戦略

こんにちは。スポーツメンタルコーチの江口康博です。

「調子が悪くても練習に行くべきだ」
「休むのは甘えだ」

スポーツを続けていると、どこかでそんな価値観を刷り込まれてきた人は多いと思います。
学生なら授業やバイトの後、疲れた身体にムチを打って練習へ。社会人なら仕事でクタクタの状態でも、ナイター練習や週末試合をこなす。プロアスリートなら不調のときでも毎日の練習で追い込んでしまう、、、。

その努力は本当に素晴らしいです。
でも、ちょっと考えてみてほしいのです。

調子が整っていない状態での練習は、伸びるどころか、悪い癖を身につけてしまうリスクがあります。

同じ1時間の練習でも、疲れた身体と曇ったメンタルで行う練習は、質が低下し、成果になりにくいことがわかっています。

あなたが今よりさらに伸びるためには、「整える」という視点が欠かせません。

神経×集中力が練習の質を決める

スポーツは筋肉だけでなく、神経系(脳と身体の連携)の学習が大きな比重を占めます。
つまり、正しい動きを脳が覚えていく作業です。

しかし、疲労やストレスがたまっていると…

・判断スピードが落ちる
・集中力が切れやすい
・フォームが安定しない
・雑念が増える(「ミスしたらどうしよう」 など)

これらはすべて前頭前野の機能低下によるものです。
脳科学研究では疲労時は運動学習の効率が低下するといわれています。
つまり、間違った動きを脳が学んでしまうということです。

「頑張ったのに、なかなか上達しない」
その原因は、整わない状態で練習を続けていることかもしれません。

特に大学生アスリートは、授業、課題、バイトと過密スケジュールのなかで知らず知らずのうちに疲労が溜まっています。
社会人チームは、仕事や家事など日常で身体も疲れることもあります。
ただでさえ疲れている状態で、さらに質の低い練習を重ねてしまうと、成長が遅くなるのは当然です。

”整っていない状態”が通常になる恐ろしさ

疲労があるなかでの練習は怪我のリスクを伴うなど大きな弊害があります。

実は、もっと怖いのは、少しの怪我や不調による歪んだ状態=”整っていない状態”がデフォルトになってしまうことです。

”整っていない状態”を継続することで身体がその状態に慣れてしまうことです。
怪我のリスクが高まることはもちろんですが、少し無理すると動けるので、ついつい頑張って動いてしまいます。
そうするとどんどん歪みがひどくなっていって、いつの間にか悪い状態が「通常の状態」だと錯覚してしまいます。

そして、接骨院や整体で身体を元の正しい状態も戻してもらっても、本人にとっては違和感しか感じないのです。

ただの疲労だと侮っていると、とてつもない大きなデメリットになります。

回復している身体は成長ホルモンが働く

整った状態で練習できた日は、こんな効果があります。

・筋肉の修復・強化(筋合成)が促進する
・体力向上の適応が進む
・免疫低下を防げる

万全な状態で追い込むので、身体も適応していて、練習の効果を最大限に発揮できます。

そして、整った状態で動くので、自身でも「身体のキレが良い」「集中した動きができる」「スタミナが持つ」など思った以上のパフォーマンスが出るので、競技への自信にもつながります。

これは練習では効率・効果の高いトレーニングに、試合のときでは結果につながり、同時に高負荷のトレーニングになることで、さらなる成長が望めます。

逆に、疲労が抜けていない状態では筋分解が優位になり、練習したのに強くならない、ケガしやすい身体になっていきます。

特に 睡眠の質と量は決定的です。
成長ホルモンの約70%は睡眠中に分泌するとされています。

徹夜明けや睡眠不足のまま頑張ることは、「鍛える」より「壊す」方向の効果が大きくなるのです。

試合での実力発揮も“整える”ことから

整った身体とメンタルと、整っていない状態では、試合で次のような違いが生まれます。

・視野が広くなる  ⇔  狭くなる
・判断が速くなる  ⇔  遅れる
・自己対話が前向き  ⇔  「ミスしたらどうしよう」
・身体の反応が良い  ⇔  ちぐはぐ

試合は練習のようにいつもの空間ではなく、環境もプレッシャーも全く違ってきます。

そんな中で頼れるのは、普段から整えてきた状態を保てる力です。

世界のトップ選手が試合前にテーパリング(調整)を徹底するのは、「疲労を抜くこと=勝つ準備」と考えているからです。

試合直前でのハードなトレーニングは、一見すると気合いの入った行為に見えて賞賛されてしまう風潮があります。
ただ、科学的に考えて疲労を抜くことは、本番でパフォーマンスを発揮する上では重要です。

もし休めない方がいれば、「いまの自分に何が必要か?」、、、これを常に考えて行動することです。

行動につなげる「調子の見える化」

体調が悪いときに、具体的にできることで、一つご紹介します。

毎日の練習前に、今日の調子を10段階で自己採点してみます。

例えば、フィジカル5点、メンタル7点 であれば、 平均6点になります。

6点以下なら、
・練習の質を下げない工夫をする
・負荷調整を行う
・技術練習中心などメニュー変更
といったことをあらかじめ決めておいて、その通りに練習します。

ポイントは、必ず事前に「●点なら××する」と決めておいて守ること。
なぜなら、その日に考えて判断すると迷いが出てしまったり、無理に練習してしまうからです。

これだけでも怪我予防や成長効率UPが期待できます。

世界最強のトレイルランナーと言われているコートニー・ドウォルター選手は、その日の朝に自分の脳や体調、脚の感覚をチェックして、そこから練習の距離や強度を決めています。そうすることで型にはまったものではなく、自分自身にとって最適なトレーニングを、本当の意味で”考える”ことができます。

身体を大事にしているアスリートだからこそ、このように自分の身体の声をしっかり聞いて、対話することは、本当に大切なことではないでしょうか。

まとめ

それでも「どうしても休めない…」と思っている方に向けた言葉です。

整えることはサボりではなく、勝つ準備
整えることは成長への最短ルート
効かない練習を続けるより、1回の“良い練習”が大事


特に、大学生アスリート、社会人アスリートこそ、競技以外にもやることが多くあります
そんななかでの「調整力」が競技力の差を生んでいきます。

「頑張る方向」を間違ってはいけません。
調子を整えてから挑めば、もっと伸びる、さらに目指す姿に向けて成長できます。


最後までお読みいただきありがとうございました。