タイムよりも身体の声を信じる。体感覚を大事にしたトレーニングの考え方

今年の箱根駅伝、総合優勝した青山学院大学。
選手のなかでも5区で圧巻の走りを見せた黒田朝日選手ですが、
普段から時計をつけない、というのは有名な話です。

あるテレビ番組で黒田選手はこう語っていました。
「タイムを気にして走るより、自分の感覚の中で限界まで走る。感覚で走ったほうが走りやすい」

時間を気にしていないから、という理由ではありません。
むしろ逆で、
「今の自分の身体がどう感じているか」
を最優先にするため。
その感覚を鈍らせたくない、という考え方です。

この話は、大学生アスリートにとっても、とても示唆的だと感じています。

みなさんは、どのぐらい自分の身体の声に耳を傾けていますか?

大学生アスリートのトレーニングは「外の基準」が多すぎる

大学の部活動や体育会では、
・〇分走る
・〇本こなす
・〇時までやる

記録、タイム、数値、時間

こうした「外から測れる基準」でトレーニングが組み立てられることがほとんどです。

もちろん、それ自体は必要なものです。
問題は、それが唯一の判断基準になってしまうこと、にあります。

同じ練習メニューでも、

天候、気温
身体が軽い日、重い日
集中できている日、どこか噛み合わない日

があるはずなのに、
「今日はどう感じているか」を考える前に、
本数やタイムに目が行って縛られてしまう。

本当は様々な条件で結果が導かれているのに、
数値に縛られていると、
自分の本当の状態がわからないにも関わらず、
「調子が悪い」と思ってしまいます。

そう思ってしまうことで、
頭のなかの余計なブレーキがかかり、パフォーマンスに悪影響を与えてしまう。

逆もあります。
良いタイムで走れると、
「これでいいんだ」
と工夫や改善する意識が減ることにもなりかねません。

気づけばトレーニングが、
身体を鍛える時間ではなく、数字を気にした作業になってしまうことすらあります。

トレーニング効果を決めるのは「内容」より「体感覚」

同じ練習をしても、
伸びる日と、ただ疲れるだけの日があります。

この差を生むのは、

・どんな意識で取り組んだか
・どこに力が入っていたか
・動きに何を感じていたか


といった体感覚です。

トレーニングの効果は、
何を、どれくらい、どう感じながらやったか
で決まります。

決して本数やタイムなどの数値だけでは決まりません。

なにより、

・今日はどんなことができたか
・昨日より一つでもできたことはなにか
・まだ伸ばせるところはどこか

といった
体感覚に意識を持って、
日々の成長に目を向けていきましょう。

身体のサインを無視すると、ズレは大きくなる

身体は、常にサインを出しています。
重さ、張り、違和感、逆に妙に動ける感覚

それらはすべて、
「今どういう状態か」を教えてくれている情報です。

でも、
・メニュー通りにやらないといけない
・休むのは甘えだと思ってしまう
・周りと比べて練習量が少なくて焦ってしまう

そんな理由で、そのサインを無視し続けると、
ズレは少しずつ大きくなっていきます。

ケガや不調の多くは、
突然起きるのではなく、気づかなかったズレの積み重ねです。

そしてズレたまま無理にトレーニングを重ねると、
”ズレた”状態が通常になってしまい、
正しい状態に戻すのも時間がかかってしまいます。

ケガが起きるだけではなく、
常にケガが起こりやすい身体になってしまいます。

トレーニングは「身体と対話する時間」

体感覚を大事にする、というと
「無理をしない」「楽をする」というイメージを持たれがちですが、
本質はまったく違います。

それは、身体と対話しながらトレーニングをするということ。

今日はどこまで攻められるか
今日はどれだけ負荷をかけるべきか
今日は整える日かもしれない

こうした判断を、
その日の身体に問いかけながら行う。

トップレベルの選手ほど、
頑張る日、抑える日、回復に集中する日
を意識して使い分けています。

それは甘えではなく、
自分の身体を丁寧に、正確に扱う技術です。

体感覚を育てるために、今日からできること

体感覚は、生まれつきの才能ではありません。
意識すれば、誰でも育てることができます。

たとえば、

起床時に
「今日の調子はどうか?」と体調を確認する。

練習前に
「今日の身体は10点中、何点?」と考えてみる。

練習中に
タイムだけでなく「余裕度」「集中度」に注意を向ける。

練習後に
数字と一緒に、身体の感覚を振り返る

こうした小さな習慣が、
身体と対話できる感覚を取り戻してくれます。

身体は、いつも正直なコーチです。

数字やタイムは便利です。
でも、それだけでは分からないことも多い。

最終的にプレーするのは、
数字ではなく、自分の身体です。


もし、今、
・頑張っているのに成長を感じられない
・調子の波が分からなくなっている
・自分に合った頑張り方が見えない

そんな感覚があるなら、
一度立ち止まって、身体の声を整理してみてはいかがでしょうか。

身体は、意外なほど正直で、
ちゃんと答えを持っています。


最後までお読みいただきありがとうございました。


◆体験メンタルコーチング
身体と対話することも重要ですが、
同時に自分のメンタルに向き合うことももっと重要です。

ただ、一人で整理するのが簡単ではないと思いますので、
メンタルコーチと対話しながら一緒に整理していきませんか?