勝ち負けだけにこだわってしまい、つらくなっているアスリートに向けて

こんにちは。スポーツメンタルコーチの江口康博です。

スポーツ、競技の世界では必ず勝敗が存在します。

試合や大会の勝敗によって、プロの選手であれば年棒、アマチュアの選手でもランキングや全国大会出場、所属リーグが変わるなど、大きな影響があります。
アスリートとして結果にこだわることはとても重要なことです。

ただ、勝ち負けだけにこだわり続けると、いつしかつらくなってしまうと思っています。

アスリートには、ぜひ自分自身の成長や、結果に相応しいメンタルに目を向けてもらいたいと考えています。

成長していく過程で、自然と本番での成果が付いてきて、結果的に選手の目標や目指す姿を達成していただきたい。
私たちスポーツメンタルコーチはそう考えています。

なぜ勝敗だけにこだわり過ぎると苦しくなってしまうのか?

悩んでいるアスリートには、是非読んでいただきたいお話です。

勝ち負け”だけ”にこだわってしまうことの弊害

勝つために集中することはとても重要なことです。

ただ、勝ち負けというものは、あくまで他人との比較の上に存在します。

心理学者エイムズの実験ではこんな結果がありました。

2人1組の子供、2チームに課題を与えて解いてもらい、一方のAチームには成績の良い方に褒美を与え、もう一方のBチームには勝ち負けに関係なく、協力したことに褒美を与えていました

そして、参加者に自分の結果について振り返ってもらうと、Aチームは「自分の能力や運」に結びつける子が多く、Bチームは「努力」と結びつける子が多かったそうです。

Aチームは勝敗という他人と比較になり、Bチームは協力という内発的なことを大事に取り組みました。

他社との競争では「過信」が生まれる
自分との競争では「意欲」が生まれる


ということがわかりました。


特にスポーツはどうしても競争社会であり、メディアなどの報道や、選手の周囲も競争を煽りがちです。
また、チーム内で選手間の競争をさせる指導者もいます。

勝ち負け、というものはお金や地位、名誉などと同じように「外発的動機」にあたります。
この外発的動機は否定はしませんが、人が何かを取り組むときにモチベーションとして長続きせず、次第に人にやる気を奪っていってしまいます。

一方、自分の成長などに目を向けていくことは「内発的動機」になります。
他人と比較ではなく、自分との競争であり、成長できることを楽しんでいるため、モチベーションをキープすることができます。

本番とは自身の成長を感じるチャンス

大事な試合や大会は必ずあると思います。

この機会も勝ち負けだけにこだわらず、自分自身の成長や力を試す機会と捉えてみることができます。

もし、勝ったとしても、勝利の要因はわかりません。
今回はたまたま相手に勝っただけということもあります。
対戦相手の体調、自分の調子、天候など色々な要因があったと思います。

ただし、自分自身ができたこと、成長したことが感じられれば素直に受け入れて喜びましょう!

逆に「もっと●●ができた」「●●をもっと鍛えよう」など、今後の課題、つまり伸びしろも見つけられたと思います。

そういった自分自身の成長を確かめる機会と捉えてみてはいかがでしょうか。

本番に向けた準備は成長のチャンス

試合や大会など本番に向けて「準備」をすることは成長するために重要な機会です。
本番当日に向けた練習はもちろん、ピーキングや、戦略・戦術の考案、食事や体調管理などです。

準備をする過程で、人はあれこれと一生懸命に考えたり、調べたり、試したりします。

実は準備が自身の成長につながる大きなチャンスになります。

準備が9割、本番が1割といいますが、結果につながったときは、自身がこれまで取り組んだことが嬉しく思えるものです。

もちろん、準備や努力がすべて報われるわけではありません。
思い通りにいかないことも多くあります。

競技人生のなかで、一度の試合の勝ち負けだけにこだわらず、成長の糧として試行錯誤してはいかがでしょうか。

「負け」に対してどう向き合えるか

どんなに練習や準備など努力をしても、負けることもあります。

勝ちには要因がありませんが、負けには必ず要因があり、自分自身の伸びしろとして捉えることができます。

できれば、その日のうちに、遅くとも次の日までに振り返ってください。
振り返りには成長できる可能性がたくさん詰まっており、記憶が鮮明なうちに行うと良いでしょう。
また、早いうちに振り返りをすることで気持ちの整理にもつながります。

また、試合を振り返るときは、「できなかったこと」を挙げて終わるのではなく、
必ず最後には「次に向けてこうしよう」といったことを書き出して締めてください。

例えば
「体力がなかったからダメだった」といったできなかったことではなく、「スタミナをつけるために走り込みをしよう」といった、今後改善すること、取り組むことだけ書き出します。

そして最後に、「次に向けてこうしよう」といったこと以外はメモに残さず、きれいさっぱり忘れてしまいましょう!笑

今後の改善策や取り組んでいくことは決めました。
あとは、クヨクヨ悩んでいても前に進めません。

一人で振り返るのが辛いとき、嫌になるときは、信頼できる誰かと一緒にやってみましょう。
身近にそんな頼れる人、メンターを見つけておくと良いでしょう。

自分の心、気持ちの整理も大事です。
悔しさはそのときに思いっきり出し切ってしまい、その後、落ち着いてから結構ですので自分の気持ちを整理してください。
試合で感じたこと、思ったことなどは書き出しましょう。

自分がそのときどんな気持ちになったのか?
なぜその気持ちになったか?
今回の試合で何を大事にしてきたのか?

自分への理解を深めることができ、自己理解はさらなる成長につながります。

結果に相応しいメンタルとは?

私たちスポーツメンタルコーチは、選手には「結果に相応しいメンタル」を目指してもらいたいと考えています。

コーチングでは、まず達成したい目標を設定しますが、
同時に、目指す姿である「結果に相応しいメンタル」(理想とするメンタル)も一緒に考えて設定します。

例えば「大会で優勝」といった目標だけでは、結果ばかり追い求めてしまい、結果を受け入れることができる自分に成長できていないことが多いからです。
勝ち負けだけにこわだることがまさにそうです。

結果に相応しいメンタル(人間性)が、
結果に相応しい行動を生み、
結果を引き寄せる


まずは結果を受け入れることができる器として「結果に相応しいメンタル」を目指してもらいたいと考えています。

スポーツメンタルコーチングではこのような結果を出すためのサポートをしています。

まとめ

勝ち負けだけにこだわることについて、いかがでしょうか。

スポーツにおいて勝ち負けは必ず存在します。
そして、勝った、負けたで一喜一憂することがつらくなっているアスリートもいるのではないでしょうか。

そんな方は自分の成長に目を向けてください。

成長すれば絶対に結果が必ず出る、とは言えませんが、
活躍しているアスリートの多くは自分の成長に目を向けて、小さな目標達成、できたことを喜び、達成感を味わいながら一歩ずつ前に進み、大きな結果につなげています。

私も以前は仕事で結果が出ないときは、他人と比較して、自己嫌悪や悲観的になることがありました。
そして、仕事中もモヤモヤして集中できず、さらに自己嫌悪に陥るなど、本当に辛かったです。

メンタルについて学んでから、自分の成長に目を向けて、そして、少しずつ行動に移してみました。
すると、意外と自分ができていること、長所や特徴、新しくできたことなど、多くの成長に気付いて心が軽くなりました。
すぐに結果が出ることはありませんでしたが、前に進むことができました。


このように、勝ち負けや結果だけを見て、苦しんでいるアスリートを思ってこのコラムを書きました。

読んでいただいた方にとって、少しでもお役に立てたら嬉しく思います。


最後までお読みいただきありがとうございました。