
こんにちは。スポーツメンタルコーチの江口康博です。
最近よくスポーツやビジネスでも使われる「レジリエンス」(resilience)ですが、
英語の意味は「はね返り、とび返り、弾力、弾性、(元気の)回復力」などになります。
スポーツにおける「レジリエンス」は、失敗や大きな怪我、プレッシャーがかかるといった困難なときやつらいときを乗り越えて、パフォーマンスを発揮、向上していける能力と言われています。
優れたアスリートは、逆境においても、フィジカルだけではなく、優れたメンタルの持ち方で乗り越えて成長していきますよね。
今回はこの「レジリエンス」について、高めていきたいと思う方は参考にしてください。
レジリエンスとは?高めるメリット
レジリエンスは心理的には「精神的回復力」を指します。
心理学においては、ストレスや困難に直面しても、心理的安定を保ち、回復して、それを乗り越えて成長する力を指します。
つまり、レジリエンスは「速やかに立ち直る力」とも言えます。
ここで重要なポイントは「立ち直る」ということです。
みなさんが想像する「メンタルが強い人」は、何事にも全く動じない「鋼のメンタルを持った人」という印象を持っていませんか?
実は、強靭なメンタルを持とうと思う人は、ある程度までの困難には動じずに耐えられますが、あるとき心がポキっと折れてしまうイメージがあります。
逆に、レジリエンスの高いしなやかなメンタルを持った人は、予期せぬ事態や困難な状況に直面したときに、失敗して、一時は打ちのめされたり、弱さが出ます。
ただ、そこから自分ができることを実行し、また周囲の助けを借りながら乗り越えていく、そんな弾力性のある強さのイメージです。
過酷な競技において、選手の精神状態はずっと一定ではなく、必ずそのときや状況によって、浮き沈みが必ずあります。
特に沈んだときに浮き上がれる力がとても重要になってきます。
アスリートがレジリエンスを高めるとこんなメリットがあります。
①ストレスへの対処能力が高くなる
競技においてプレッシャーなどストレスがかかる場面は多くあります。
レジリエンスが高いアスリートでは、ストレスがかかる環境のなかでも、心の安定を保ち、うまく自分をコントロールできます。
大会や試合のなかでも、パフォーマンスを最大限に発揮でき、良い結果や成績を出すことができます。
②怪我や環境変化への柔軟な対応
アスリートが競技をする上で、怪我は必ずつきまとってくる、避けて通れない困難です。
また失敗することもあるでしょう。
怪我や精神的ダメージから素早く立ち直れるかどうかで、その後の競技人生や成長曲線も変わってきます。
また、なかには本田圭佑選手のように「怪我はチャンス」と成長する人もいるため、レジリエンスの高さによって大きく変わってきます。
また、チームや環境が変わったときも、素早く順応できるかどうかも重要です。
海外で活動するアスリートでは、こういった異文化などへの適応力も、活躍できるか否かの違いになります。
③失敗を恐れず、挑戦して成長できる
完璧主義の人は、困難な状況に立ち向かって失敗すると心にダメージを負いがちです。
レジリエンスの高い人は「ある程度失敗してもOK」と、多くのトライ&エラーを繰り返しながら、失敗も含めて経験から学びを得て、成長していくことができます。
また、失敗してもリカバリーするにはどうすれば良いか考えて、練習に取り組んでいきます。
どんな状況でも、足を止めることなく挑み続けて、自己成長につなげていけるのです。
レジリエンスを高める方法3つ
レジリエンスは生まれ持ったものではなく、経験や行動によってつくられていくものですので、心の在り方やトレーニングによっても培うことが可能です。
①自己効力感を高める
自己効力感は自分の内側から自然に湧き上がってくる自分を信じる気持ちで、「なんかできそう」「うまくいきそう」という感覚です。世の中では「自信」と言われているものです。
この自己効力感が高いと、新しいことに挑戦できる、失敗しても落ち込んでも、すぐに次にどうすれば良いかを考えて行動できる、周囲からも学ぶ姿勢を持てる、など困難な状況や課題に取り組む際に大きな推進力となります。
自己効力感については下記コラムをご参考ください。
<参考コラム>
世の中のほとんどの人が勘違いしている「自信」とは
②物事の捉え方を変える
競技で困難な状況やつらいときは感情のコントロールが欠かせません。
その際には物事の捉え方を変えていくと良いと言われています。
目の前の状況は自分の考え方ひとつで良いものにも悪いものにも捉えることができます。
「ABCDE理論」などを活用して、、思考パターンを否定的から肯定的に変えることで自分の感情をコントロールしていけます。
③サポートしてくれる周囲との関係性を強める
コーチ、チームメイト、友人、家族などと、積極的にコミュニケーションを取ることで関係性を強めることも大切です。
あなたの周りの人とは普段から何気なく会話していませんか?
相手の良い面を見つけたり、感謝をしたり、ときには自身の悩みや考えを話してみたり、逆に考えを聞いてみたりすることで、コミュニケーションを深めていきましょう。
そうすると周りに相談できる人ができ、安心感が生まれます。
そして、困難なときでも自分をサポートしてくれる存在がいるのは心強く、乗り越えていける助けになります。
まとめ
レジリエンスについてご紹介しましたが、私が考えるもう一つのポイントをお話します。
それは自分らしく生きるということです。
目指す姿を設定することは重要で、その姿は是非「あなたらしい」ことを目指してください。
無理に強い自分、違った自分を目指す必要はありません。
本来の自分と違う行動をするといつか歪みが生まれて止まってしまいます。
あなたが本心から目指す姿、やりたいことを実践していくことが、困難な状況を乗り越えるには、とても大切と考えています。
また、周囲にもあなたの考え方を話していれば、あなたらしさに賛同してくれる仲間が集まってきて、サポートしてくれます。
最後に、自分ができたことに対しては、自分で自分を褒めてあげましょう。
レジリエンスを高めることは、メンタル面だけではなく、フィジカル面にも良い影響があると言われています。
強すぎる気持ちで考えず、是非しなやかな気持ちで考えて参考にしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。